「クリスマスのおばけ」せなけいこ
楽しいクリスマス。ケーキを食べたり、プレゼントをもらったり、
オバケの子だって、クリスマスには楽しくいたい。
そんな優しい視点の絵本です。
視点を少しずらして見るだけで、違った物語が見えてくる。
さすがのせなけいこさんの、優しさあふれるシンプルな絵本でした。
「くみたて」田中達也
身近なものが別のものに見えてくる
とても不思議な世界感。
”見立て作家”という作者の田中さんがものを別のものに見立てた世界を繰り広げていきます。
実物の写真で表現されていますが、
ミニチュアの別のものに扮しています。
ミニチュアの世界に、たくさんの様々な小さな人がいて面白いのです。
この小さな人が作者である田中さんの世界の主役でいて、目印なのかもしれません。
ミニチュアなのでじっくり見たり、見立てをみるのに視点を引いて見たり、
ぜひ、独特の世界を味わってください。
以前「きたかぜとたいよう」をご紹介しましたが、すっかりブライアン・ワイルドスミスの面白さに引き寄せられて、もう1冊。ブライアン・ワイルドスミスの絵本は、どことなく教訓めいた、ものの真理があり、はっとさせられます。
「お月さまのさんぽ」ブライアン・ワイルドスミス
お月さまが下の世界を見たことないというので、太陽が色々案内してあげます。
一つずつ丁寧に見せてあげる太陽はどことなく自慢げです。自分にはみえないものなんてないと自負しています。そこでお月さまがボソッと言い放つ一言でお話は一気に深みを増して終わるのです。強烈な、そしてなんとも含有力のあるお月さまの一言で、なぜかホッとして終わりました。それまでカラフルに展開された描写が、深みのあるページで余韻を残して終わりました。
ものの両面を深く問いかける、素晴らしい一冊でした。